SCHOOL DAYS-AFTER-
第1話 ブラジルから来た男

成田。東京国際空港。午前8時42分。
天気は珍しく、ギンギンに晴れていた。
「此処が日本か・・・親父の家系の住んでる場所は」
男の名はカルロス。生まれはリオ・デ・ジャネイロ。
生まれたときからずっと、自分の遠い親戚が住んでいる日本に憧れており、
このたび休暇を利用して日本へやってきたのだった。

「でもリオ・デ・ジャネイロと比べると寒いな・・・何かコートでも買おうかな」
カルロスの住んでいるリオと比べると、此処は寒かった。ブラジルが夏なら、
日本は冬、でブラジルが冬なら日本は夏だ。

カルロスの家系は日系ブラジル人。20世紀の頭にブラジルに移住し、
裸一貫からそれなりの財を築き上げていたが、
第2次世界大戦の時に家族は母方の住んでいたイタリアへ亡命、
戦後家族はブラジルへ戻ったが、兄弟の数人はイタリアに留まり、
後に再び故郷に錦を上げるためにブラジルへ帰ってきたと言う。

「こうはしておけない。知り合いと会わなくちゃな。
あ・・・ところで原巳浜ってどこだろ」
馬鹿か。此処は日本だ。ブラジルじゃない。

原巳浜-
神奈川県は相模原の近くにある、首都圏のベッドタウン。
数年前から宅地開発が進み、今じゃ人口も急増中だという。
「苦労するなあ・・・ブラジルより苦労しそうな感じ」
知り合いの住んでる家を探し見つけたカルロスだが、
今は誰も住んでないと言う。
そして近所の人から「実は3ヶ月前に殺人事件があったんですよ。
男の子を奪いあいからの殺人事件。尤もその男の子も問題があったと・・・」
突如驚いたカルロス。一瞬、何もかも奪われたと言う感じだった。
「その部屋に入っても平気でしょうか?」とカルロスは流暢な日本語を話した。
近所の人は答えた。「あそこはドアロックなんですよ。私たちは許可がなくてはが入れないの」

実はカルロスは、伊藤誠の遠い遠戚だったと、近所の人に喋った。
「折角ブラジルから日本へ来たのに・・・」
彼は直接、誠とその家族と会ったことがなく、今回が初めてとなる筈だった。
もし誠が生きていれば・・・の話だったが。

しかし、カルロスは諦めていなかった。
どこかで生きているはずだと信じていた。どこかできっと生きてるんだと言う希望を抱えながら・・・。

第2話へ続く


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